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車検証の電子化、どれほどの便利さをチャックしましょう!

車検証の電子化

2020/07/22
 
電子化

目次

電子化とは

電子化
電子化

電子マネーや電子書籍など、これまであったアナログのアイテムがどんどんと電子化されていっている昨今。
車検証も電子化が検討されているということをご存知ですか?
現在の紙の車検証は常に自動車の中に積んでおかなければならず、毎回の車検更新や住所変更などがある度に新たに発行してもらわなければなりません。
考えようによっては、なかなか不便です。これを電子化することができれば、再発行や記載事項変更手続きなどがオンラインで一括して申請できるようになり、非常に便利です。
このように、申請者(車検利用者)の負担を削減するために、車検証の電子化が検討されています。
2018年6月で閣議決定された「未来投資戦略2018」では、車検証の電子化を導入するための案が詳しくまとめられたので、ここではそれについて詳しくご紹介していきたいと思います。

電子化の海外事例

電子車検証は、別名を「IC登録証明書」といいます。
このIC登録証明書を実際に導入している国が現在、世界には3ヶ国あります。
まずはその海外事例について解説しましょう。
以下の3ヶ国以外の国の車検証は、基本的には依然として紙媒体で運用されています。
日本で導入されれば世界で4ヶ国目の珍しい事例となるかも知れません。

・オランダ

オランダでは、「DienstWegverkeer(RDW道路交通局)」という所がIC登録証明書を発行しています。IC登録証明書の種類は「詳細版」「概要版」に分かれており、概要版は車両を輸出する場合にのみ発行されるようです。
携帯義務があるのは詳細版のみですが、ICカード化されているので、非常に携帯しやすいのが特徴です。
ただし、概要版については紙媒体で発行されています。

・スロバキア

スロバキアでは、「OdborDokladov a evidenciíPrezídia PZ」という警察機関がIC登録証明書を発行しています。
オランダと同じく「詳細版」「概要版」が発行されており、概要版は紙媒体となります。
詳細版と概要版、いずれも携帯義務はありません。

・オーストラリア

オーストラリアでは、「Verband der VersicherungsunternehmenÖsterreichs」という保険関連組合がIC登録証明書を発行しています。
「詳細版」「概要版」が発行されており、詳細版のみ携帯義務が課せられています。IC登録証明書の使用は必須ではないのがオーストラリアの特徴で、紙媒体を選択することもできるようです。
IC登録証明書の発行方法は上記3ヶ国ですべて同じで、郵送で送り届けられます。

電子化の導入背景

背景
背景

IC登録証明書が使用できるようになると、紙媒体よりも圧倒的に便利ではありますが、事例の少ない制度を導入するまでには、何度となく会議やワークショップなどが開かれ、入念に検討する時間が必要です。
「オランダ」「スロバキア」「オーストラリア」ではすでにIC登録証明書が導入されていますが、導入されるまでには当然長い道のりがありました。
ここでは、そんなEUにおけるIC登録証明書導入までの背景についてご紹介します。
EUが一般的な紙媒体の車両登録証明書についての制度発足を決めたのは、1999年のこと。この時期すでに車検制度が当たり前だった日本から見ると、かなり遅いスタートのように思えます。
しかし、そこからは早く、4年経った2003年には、IC登録証明書を導入するための動きが起こります。
2006年、いち早く運転免許証をICカード化していたオランダは、ICカードの利便性に着目。2007年には車両登録証明書ICカード化の内部検討を開始します。
翌年、車両登録証明書のICカード化に関するトピックグループを立ち上げました。
トピックグループに所属しているEU各国は、何度かワークショップを行ってICカードの利便性と安全性を確認しました。このおかげで、トピックグループによるIC登録証明書についての取りまとめが行われ、2014年にようやくオランダにおいてIC登録証明書が運用開始されました。

各国の電子化状況

日本では、2022年中に国内すべての車検証をICカード化する方針です。
アジア諸国としてはIC登録証明書の導入検討は日本がもっとも早く、2022年までを目標としているのも世界的に見て、かなり驚くべきスピード感といっても良いでしょう。
ところが世界では、IC登録証明書に完全以降はしていないものの、すでに導入するまでの各種オンライン手続きの整備を着々と行っている国が存在しています。
IC登録証明書の導入に動いている国の電子化状況を、詳しく見ていきましょう。

・エストニア

エストニアでは、「ERA」というサイトを利用すれば車検証の登録予約手続きをオンライン申請することが可能です。また、車検証の名義変更の申請や、自動車税の支払いをオンラインで完了することができます。
ただし、オンライン申請手続きが可能であっても、交付物の受け取りはしなければなりません。

・ノルウェー

ノルウェーでは、「NPRA」というサイトを利用すれば車検証の新規登録がオンラインで行えます。
ただし新車はディーラーの代行申請のみで、中古車に限ってはディーラー申請または本人申請が可能です。
車検証の変更や移転、手数料や自動車税の支払いなどもオンラインで行える為、エストニアよりも電子化が進んでいると言えるでしょう。

電子化の閲覧方法

閲覧方法
閲覧方法

車検証を電子化するにあたって、オンラインで閲覧できる情報をどこまで制限すればいいのか、という規定を定めなければなりません。
スマートフォンやパソコンなどで手軽に車検証を確認して、変更手続きなどもできるようになれば便利ではありますが、ヘタに導入してセキュリティーが万全でなければ、大切な個人情報を盗み取って悪用されてしまう危険性もあるからです。
かといってセキュリティーが厳重過ぎても、コストなどの面から考えて導入が難しくなってしまいます。
ここでは、国土交通省が主体となって現在進めている、電子化した車検証の閲覧方法への意見のまとめをご紹介します。
国土交通省は、ICカード化した自動車検査証のチップには所有者の氏名や住所などが記録されている為、ICカード化された車検証を悪用しようとする人物が個人情報にアクセスすることを防ぐ意味で何らかのセキュリティー対策を講じる必要があるとしています。
そこで、パスワードの導入、QRコードの導入などが検討されています。
しかし、ICチップのQRコード機能を使用するためには、読み取りできる専用端末がなければならないので、すべてのユーザー向けとは言い難い状況です。
特に高齢の方にとっては、セキュリティーを上げれば上げるほどややこしくて難しい、という事になるでしょう。
さまざまなメリット・デメリットを鑑みて検討されていますが、最終決定はどうなるか、現在のところはまだ固まってはいません。

電子化の記載事項

車検証を電子化すると言っても、電子化した車検証にどこまで情報を記載するか、というのもじっくり考えていかなければなりません。現在日本で検討されている、記載事項関連についてご紹介します。
ICカード化した車検証には、「使用者の氏名」「自動車登録番号/車両番号」「車台番号」「管理番号」「セキュリティーコード(ICチップにアクセスするためのコード)」などが記載される予定です。
「有効期間」や「所有者の氏名・住所」「使用者の住所・使用の本拠場所」などは記載されません。
プライバシーに配慮し、必要最小限の基礎的情報のみを掲載しようという意図で選定されています。
また、現行の車検情報と同様の情報はICチップに記録することで、不用意に他者に重要な情報が漏れないようにします。
また、ICチップの空き容量を行政機関や民間事業者などが活用できるように検討されており、カード裏面には重要な情報を略語表示してICチップ内の情報がひと目で分かるようになっています。
1枚のカードにこれだけの情報が詰まっていると考えると持ち運びが怖いかもしれませんが、しっかりとしたセキュリティーが設置されればそんな心配はなくなるでしょう。
1枚のカードから詳細な車検証を印刷または電子ファイル生成が出来るようになる様です。
利用者の利便性を最大限に考えられたICカードとなると考えて良いでしょう。

電子化の導入時期

導入時期
導入時期

これまでの紙媒体での車検証から電子化へ移行するには、段階を踏む必要があるでしょう。
一気に導入する方法も勿論ありますが、車種ごとに順次導入する方法などによって、利用者や実施者(政府側)の準備期間を設けたほうが良いという意見もあります。
日本では2022年までにIC登録証明書の完全導入を目指している物の、導入方法や時期については未定です。電子化導入時期について、様々な検討がなされているところです。
ここでは、その検討案についてご紹介します。
国土交通省では、IC登録証明書の導入時期について、行政側のシステム改修、法令上必要となる手当のみならず民間事業側の準備期間についても考慮する必要があるとしています。そこで、導入する車種を限定したり、地域ごとで時期をずらしたりして効率よく導入する方法を検討しています。
一方、「全車一斉導入を進めるべき」という意見もあるようです。
全車一斉導入なら、移行期間終了後、従来の書面と電子化された新しい車検証が混在するような事が無いので、車検や登録変更手続きなどの業務が効率化するというメリットも挙がっています。
不具合があった場合の影響が大きいというデメリットはありますが、車種や地域を限定した場合は業務が非効率になるとの見通しがあり、現段階では、中々まとまっていない様です。

電子化の導入コスト

紙媒体からシステム化されたICカードへと移行するには、大きなコストが掛かります。
システムの整備費、ICカードの発行費、ICチップを読み取るための機器導入費などが想定され、導入方法によっては利用者にも負担が掛かってくる可能性があります。
そんな車検証の電子化におけるコストについて、国土交通省の見解を見てみましょう。
国土交通省では車検証を電子化するにあたって、システムの開発運用、ICカードの製造、ネットワーク環境の整備、専用機器の導入などの導入コストが掛かる事を想定しています。
なるべく導入コストを抑えつつ、最適な制度となるように検討した結果が以下の通りです。

・国土交通省において必要な費用のイメージ

車検証を電子化するにあたり、国土交通省では自動車登録検査業務システムとワンストップサービス(OSS)インターフェースシステムの改修が必要です。このため、両システムの更改時にあわせて改修することで、費用の低減を図ります。

・自動車ユーザーが負担する費用のイメージ

電子情報の読み取りには、読み取り端末と専用アプリケーションの導入が必要です。ユーザーが読み取り端末を持っていない場合は、代替案を検討することが不可欠です。

・関係機関において必要な費用のイメージ

電子情報の読み取りおよび書き換えには、読み取りまたは書き換え端末と専用アプリケーションの導入が必要です。これらの導入コストを低減するためには、なるべく専用機器ではなく汎用機器を活用できるような設計とすることが不可欠です。
特に、すでに導入している他の行政機関のICカードの読み取り・書き換え端末が利用できるようになる配慮ができるのが理想的です。

電子化による検査標章

車検
車検

車検証を電子化するにあたり、考えなければならない問題は沢山ありますが、「車検ステッカー(検査標章)」をどうするのか、という点も重要なポイントです。
IC登録証明書が導入される事で、運輸支局などに出頭しなくとも自動車ユーザーがオンライン上で手軽に車検証を発行・変更手続き出来る様になります。
しかし、手続きをオンライン化する事で、車検ステッカーを手渡す事が出来なくなってしまいます。
その為、国土交通省は車検ステッカーについても、受領のための支局などへの出頭を不要とするシステムを構築する必要があると考えています。
現状では、支局などに専用プリンターを設置し、車検場の交付時にあわせて印刷、交付されている車検ステッカー。こうした制度を廃止して、ユーザーが出頭せずに車検ステッカーを手に入れるために検討されているのが、「支局などから郵送する方法」などです。
ところが、この方法はユーザーが受け取るまでに時間が掛かる点がネックといえます。常時持っていなければならない(車に貼っておかなければならない)車検ステッカーの交付方法としては不十分と言える訳です。
そこで現在もっとも有力な、新たな車検ステッカーの交付方法は「支局など以外の者が印刷可能とする方法」です。印刷状況をシステム管理して容易に印刷できない状況を作り、印刷権限を付与された者のIDのみで印刷ができるようになれば、安全を確保しつつ、即時交付が出来る様になると考えられています。

電子化の導入効果

従来の紙媒体の車検証を電子化するというのは、非常に手間もコストも掛かるものです。 しかし、そのぶんIC登録証明書を導入する事によって得られる効果が大きいので、政府では長い時間をかけて電子化を検討しています。
では、その導入することによって得られる効果とは一体どういうものなのでしょうか?
車検証を電子化することの大きな目的は、「ワンストップサービス(OSS)申請を行ってもなお残る、出頭の必要性の解消」です。ワンストップサービスとは、オンライン上で車検証に関するさまざまな手続きのことで、出頭とは運輸支局などに出向くことを指しています。
せっかくワンストップサービスによって利用者が運輸支局まで出頭する手間を省いたのにも関わらず、現状では紙媒体の車検証を受け取るために利用者は物理的移動が必要不可欠です。
しかし、車検証を電子化すれば、そのムダや負担を大幅に削減する事が出来ると考えられます。
ディーラーや整備事業者などに、とっても大きな効果があり、車検証の発行手続きなどが簡単になることから、働き方改革に貢献する事が出来るとの見通しがなされています。

今後の電子化の進め方

電子化の進め方
電子化の進め方

日本では2022年にすべての車検証を電子化、ICカード化するようにさまざまな会議・検討が重ねられています。自動車を利用する方にとっては大きな変化となる為、2022年までにどのように電子化を進めていくのか気になる方も多いのではないでしょうか。
当面の電子化の進め方については国土交通省から発表されていますので、ご紹介します。
2019年の3月に発表された資料によると、2019年の4月に第7回目となる「自動車検査証の電子化に関する検討会」が開催されます。その場では、電子化に伴う技術的要件の検討と、将来的な活用のあり方の検討を議題とするようです。
具体的には、国内外の事例を調査したICカードの利活用の方策や、電子化後のワンストップサービス申請の充実・拡充が当面の課題となっています。
マイナンバーカードとIC登録証明書をかけ合わせて便利に利用出来るような施策が提案されているので、実際にそのような利活用ができれば申請手続きなどがかなり楽になるかも知れません。
今後の進捗に注目しましょう。

電子化のメリット

車検証を電子化することで、大きなメリットが得られます。
いくつかあるので、それぞれの項目ごとに見ていきましょう。

・紛失の心配がない

従来の紙媒体の車検証は、車検を受けた翌日に発行されるのが一般的です。郵送などで送り届けられても、ついつい未開封のまま放っておいてしまう事もあるでしょう。
他の郵便物と混ざって紛失してしまうということも十分考えられます。
しかし、電子化した車検証であれば検査を受けた当日に新しい車検証データが送信されるので便利です。
また財布に入れておけるサイズになるので、紛失の可能性が削減されます。
ちなみに、ICカード内にある情報にはセキュリティに頑丈なロックがかかることになるので、盗難に合って情報が盗み取られる心配も減るでしょう。

・ユーザーが出頭する必要がなくなる

現在、車検証の変更手続きは運輸支局などの窓口で行われていますが、電子化する事によって、こういった手間をすべて省く事が出来ます。
運輸支局などは、平日の決められた時間のみしか開いてない為、時間がなくて行けない方も多いかと思いますが、そのような不便も無くなります。

電子化のデメリット

電子化
電子化

車検証を電子化した事によって得られるメリットは大きいですが、もちろんデメリットとなる部分も存在します。ここでは車検証を電子化したことで発生すると考えられるデメリットに関してご紹介します。
・オンラインから車検証の情報が流出する危険性
車検証を電子化すると、インターネットからオンラインで車検証の詳細を確認することが出来る様になります。ただ、インターネット上に情報が上がっているということは、いくらセキュリティ面が万全だったとしても情報流出の危険性があると言う事です。
または、悪意のある人間によって情報を盗まれる事もあるかも知れません。
ICカードの導入に際しては、セキュリティ面について万全の体制が敷かれることになるかと思いますが、上のような事情があるので、情報の漏えいや盗まれることに関しては「可能性が無いわけでは無い」と考えておく必要があると言えるでしょう。

まとめ

電子化
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いかがでしたか?
車検証が電子化されれば、自動車を利用するユーザーはいちいち車検証情報を変更するために運輸支局に出頭しなくても良くなったり、簡単に手元で車検証の有効期限を確認したり出来る様になるので、非常に便利です。
自動車を利用するユーザーにとっては喜ぶべき施策と言えるでしょう。
ただし、紙媒体であったものを電子化するのには、かなりの時間と手間とコストが必要になってきます。
ユーザーもICカードを読み取るための機器を用意しなければならない可能性がありますし、電子化するにあたって面倒な登録作業なども必要になるかも知れません。
あらかじめ知っておかないとすぐには対応できないかも知れないので、関心がある方は今後の「自動車検査証の電子化に関する検討会」の動向をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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