タイヤ

目次
役割・機能・性能

タイヤは、自動車を構成する部品の中で唯一、路面に接地している部分です。
そんなタイヤの役割や機能、そして性能について解説します。
そもそもタイヤには、4つの役割があります。
1.車両の重量を支えること | 車体そのものの重さはもちろん、乗員や荷物などの重さもすべてタイヤが支えています。 |
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2.エンジンやブレーキの力を路面に伝えること | これによって車体は進んだり、止まったりする事が出来ます。 |
3.路面からの衝撃を吸収すること | 路面の凹凸があると本来ならば車両は大きく揺れ動きますが、タイヤの衝撃を吸収する力によってスムーズに走行することができます。 |
4.方向を転換する事と、維持すること | 車両の操作は、タイヤがハンドルで動かされることによって制御されています。 |
タイヤの基本的構造
ここからはタイヤの基本構造についてご紹介します。
タイヤはゴムでできた単純なパーツだと思われがちですが、車両を守るための性能を付与するために、意外と複雑な構造をしています。「トレッド部分」「ショルダー部分」「サイドウォール部分」に分かれます。
ここでは、それぞれの構造の役割についてまとめています。
「トレッド部分」は、路面と接するタイヤの「外皮」のことを指します。
表面にはパターンが刻まれており、これによってスリップを防止する事が出来ます。
「ショルダー部分」はタイヤの「肩」にあたります。地面に接するトレッド部分のフチにあたります。
この部分は、タイヤの骨格を形成している層を保護する役目を持っています。つまり、ショルダーがなければタイヤの耐久度は落ちてしまうと言う事になるので、非常に重要なパーツと言えるでしょう。
「サイドウォール部分」は、地面に設置していない「サイド」の部分です。
この部分もタイヤの骨格を形成する層を保護する役目を持っていますが、「タイヤサイズ」や「メーカー名」などが表示される部分でもあるのでタイヤの性能を見極めるうえでも欠かせない部分となっています。
上記のパーツはゴム製で、そのほかのパーツには「高炭素鋼」「スチールコード」「ポリエステル」「ナイロン」「レーヨンコード」などの様々な材料が使用されています。
トレッドパターン

タイヤにはさまざまなパターンの溝や切れ込みが入っています。これをトレッドパターンと言います。
タイヤの排水性を高くしたり、操縦を安定させたりする重要な役割を担っています。
パターンにはいくつかの種類があるので、ここでは各種類の名称と役割、特徴についてご紹介します。
トレッドパターンの種類は、大きく分けて4種類です。
1.「リブ」 | タテ溝型のパターン。操縦安定性に優れており、低騒音で、転がり抵抗が小さく、排水性に優れています。 |
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2.「ラグ」 | ヨコ溝型のパターン。駆動力や制動力、けん引力、そして耐カット性に優れています。 |
3.「リブラグ」 | リブとラグを組み合わせたパターン。操縦安定性が高く、駆動力や制動力の発揮に優れています。 |
4.「ブロック」 | 独立したブロックを組み合わせたようなパターン。雪道や泥のある過酷な土地でも、安定した走行が期待できます。 |
溝の入り方だけで走行の質が大きく左右されるので、使用する地域の路面状況に合わせたタイヤを選択しましょう。
色
カラーリングは、使用者の個性や気分を変化させる大切な要素。そのため、自動車においても様々な人々の個性や気分に合わせたカラフルなボディーの車種や、アイテム、パーツなどが販売されています。
ところが、タイヤはどの車両を見ても「黒」ばかり。これに疑問を抱いたことのある方も多いのではないでしょうか。
実は、タイヤのカラーリングが黒だけであるのは、ちゃんとした理由があります。
車両用タイヤが開発されたころ、タイヤの色は白色や飴色というのが普通でした。
しかし、1912年に「カーボンブラック」と呼ばれる炭素粉末をゴムに混ぜると、ゴムの強度が大幅に高まるということが発見されました。さらに、カーボンブラックは紫外線にも強いということで、屋外で使用する車両用タイヤにはもってこいの補強材だったのです。
そのため、現在でもカーボンブラックを練り込んだゴムを使用したタイヤが主流となっています。
しかし現在、ゴムの補強材として「ホワイトカーボン」を使用する企業も増えてきているため、カラフルなタイヤが主流となるのも時間の問題かもしれません。
カーボンブラック

タイヤが黒い理由は、カーボンブラックという補強材を練り込んでいるからだという事をお伝えしました。
人の命を乗せるタイヤの重要な補強材であるカーボンブラックは、一体どういった素材なのでしょうか?
カーボンブラックについて、より詳しい情報をご紹介します。
カーボンブラックというのは、直径3~500nm(ナノメートル)程度の炭素微粒子の事です。
科学的には炭素として扱われているものの、正確には、純粋な炭素ではなく「無定形炭素」というものに分類されます。
粒子の大きさや粒子同士のつながり、表面の状態などを自由に変えられるという特徴を持ち、ゴムとの親和性がきわめて高い物質です。そのため、ゴム製品の補強材として使用されています。
ちなみに、カーボンブラックの活躍の場はタイヤの補強だけにとどまりません。
着色剤としても用いる事が出来る事から墨汁やスプレーの顔料として使用されており、作成段階で導電性を与えられることからフロッピーディスクのような磁気記録媒体の添加剤としても使用されてきました。
さらに身体への悪性が低いという事で、マスカラやアイライナーなどの化粧品への添加剤や、食品着色料としても使用されています。
シリカ
タイヤの補強材として使われているのは、カーボンブラックだけではありません。
100年ほど前まではカーボンブラックのみがタイヤの補強材として使用されていましたが、現在ではカーボンブラックともうひとつの材料を混ぜ合わせ、より強度を高めることに成功しています。
その材料とは、シリカ(二酸化ケイ素)と呼ばれる物質です。
シリカは石の粉であり、砂のようなさらさらとした物質です。
タイヤよりも身近なものでいうと、化粧品のファンデーションなどに使用されています。
シリカをカーボンブラックと一緒に混ぜ込むと、転がり抵抗を抑え、濡れた路面で急停止する力を飛躍的にアップさせる事が出来ます。
転がり抵抗とは、文字通り「転がる」という動きに対する抵抗力のことで、これが強い場合、車のスピードは抑えられてしまいます。しかし、シリカを加えることでその抵抗力が低くなり、よりスムーズにタイヤが転がってスピードを上げる事が出来る様になります。
とはいえ、ゴムとの親和性が高いカーボンブラックとは違い、シリカはゴムとの相性が非常に悪いのが難点。シリカを配合したゴムは成形がかなり難しいといわれています。そのため、現在のタイヤには少量のみ補強材として入っています。
タイヤの選び方

タイヤを選ぶ上で最も重要なのは、車両にあったサイズのものかどうかという点です。
これが合っていないとそもそも車両にタイヤを装着する事が出来ない、または出来たとしても安定した走行が行えず事故の原因となる場合もあるので気を付けましょう。
タイヤのサイズはサイドウォール部分に表示されていますが、少しややこしい表記になっているので、ここで解説します。
タイヤのサイドウォール部分には、メーカー名と商品名、そしてタイヤ幅などのサイズ情報が表記されています。表記されているのは大体数字とアルファベットのみ。「タイヤ幅」「扁平率」「インチ数」「ロードインデックス」「速度記号」となります。
扁平率は、タイヤがどれくらい地面に設置するかを表す比率です。数字が小さいほど接地幅が広がります。
また、ロードインデックスとは加重指数の事で、そのタイヤが支えられる重さを表しています。
とはいえ、これはあくまで基本であり、タイヤのサイズ表記はメーカーによって様々です。
サイズの見方に不安があれば、専門の業者に合ったタイヤを探してもらうのが一番確実でしょう。
サイドウォールの表記
タイヤに関するデータは、サイドウォール部分に表示されています。たとえば「215/45R18 93W」と表示されている場合、「215」がタイヤ幅で、「45」が扁平率、「18」がインチ、「93」がロードインデックス、そして「R」がラジアル構造、「W」が速度記号となります。
【タイヤ幅】
タイヤの断面幅のことを指します。単位はミリメートル。
【扁平率】
タイヤの断面幅に対する断面の高さを比率で表しており、「タイヤの高さ÷タイヤ幅×100」で求めることができます。扁平率が低ければ地面との接地幅が広がります。
【ラジアル構造】
Rは、「ラジアル(Radial)」というタイヤ構造の事を指しています。
現在では、乗用車に使われるタイヤはほとんどがラジアル構造となっています。
しかし、ほかにバイアス構造と呼ばれる構造のタイヤも存在します。
【インチ】
これは、正確にはリムの直径のインチ数を表します。
リムとはホイールとタイヤのゴムが接地している部分であり、タイヤの内径でもあります。
【ロードインデックス】
タイヤ1本当たりが支えることのできる最大荷重を指した数値です。
【速度記号】
速度記号には「L」「Q」「R」「S」「T」「H」「V」「W」「Y」の9種類があり、それぞれ安全に走行できる最高速度が何km/hなのかを表しています。たとえば「L」は、最高速度が120km/hとなります。
例に挙げている「W」は、最高速度が270km/hまでなら耐えられることを意味します。
タイヤサイズ変更

タイヤは、車両保安基準で定められた4つの条件さえ満たしていれば、純正で取り付けられているサイズ以外のものに変更する事が出来ます。
条件を満たしていないと法律に違反することになるので、タイヤのサイズを変更する際はかならず以下の条件に合ったものを選びましょう。
【タイヤサイズを変更する際の4つの条件】
1、はみ出さないこと
車体の外に、はみ出さないサイズである事が第一条件です。
もしタイヤが、はみ出していると、並走する車体と接触事故を引き起こす可能性や、ハンドル操作が困難になるリスクがあります。
2、ロードインデックスを確保すること
タイヤには、それぞれそのタイヤが支えることのできる最大負荷能力(ロードインデックス)が定められています。
標準で装備されていたタイヤのロードインデックスよりも下回るタイヤは、使用することができません。
3、車体とタイヤが当たらないこと
走行時やハンドルを操作したときに、車体とタイヤが接触すると危険です。そのため、この条件があります。
4、メーター誤差を起こさないこと
タイヤの大きさが著しく変わると、スピードメーターの表示に誤差が生じることがあります。
そうならないよう注意する必要があります。
インチアップ

タイヤのサイズは、車両保安基準に定められた条件に合ったものであれば変更する事が出来ます。
これを利用して多くのクルマ好きの方が行っているのが、インチアップです。
インチアップはタイヤのホイールを大きく見せて、ゴム部分の幅を大幅に小さくする手法です。
メリットとデメリットがあるので、それぞれ解説します。
【インチアップのメリットとは?】
・見た目がスタイリッシュになって、おしゃれ度が増す
・運動性能がアップする
・グリップ性能がよくなる
・コーナリング性能が高まる
「玄人の走り」を見せたいという方にとっては、とても魅力的なメリットばかりです。
ところが、残念ながらデメリットもあるので注意しましょう。
【インチアップのデメリットとは?】
・乗り心地が悪くなる
・燃費が悪くなる
・走行音が大きくなる
・ハンドルが重たくなる
このデメリットを総括すると、「運転し難くなる」ということになります。
ドライビングテクニックに自信がない方は、安全のためにもインチアップしないようにしましょう。
チューブレスタイヤ

チューブレスタイヤ
とは、タイヤ内部に空気を通すチューブが入っていないタイヤのことです。
現在販売されている乗用車のほとんどがチューブレスタイヤを採用しており、バスやトラックなどの商用車でもどんどん採用されるようになっています。
そんなチューブレスタイヤのメリットとデメリットについてご紹介します。
【チューブレスタイヤのメリットとは?】
・パンクしにくい
・放熱効果が高いのでタイヤ温度の上昇が緩やか
・チューブのトラブルが発生しない
チューブレスタイヤは、タイヤ内部にインナーライナーというゴムシートが貼り付けられており、そのシートの内部にできた隙間をチューブ代わりにして空気漏れを防いでいます。
このため、空気が漏れにくくなっており、パンクに悩まされる可能性が抑えられています。
また、そもそもチューブがないのでチューブの劣化トラブルなどが発生しません。
【チューブレスタイヤのデメリットとは?】
・空気圧不足やパンクが発生していても分かりづらい。
・ホイールの変形やキズなどによって、空気漏れを起こす可能性がある。
チューブレスタイヤにパンクが発生していても、穏やかに空気が抜けるだけなので、見た目だけでは損傷しているのかどうかが分かりにくいというデメリットがあります。
また、ホイールが変形したりするとゴム部分が傷ついて簡単に空気漏れが発生することもあります。
チューブタイヤ
現在走行している自家用車のほとんどがチューブレスタイヤに切り替わってきていますが、まだチューブが入っているタイプのタイヤも、特に重量級の車両には、よく使用されています。
そんなチューブタイヤのメリットとデメリットを見ていきましょう。
【チューブタイヤのメリットとは?】
・タイヤをホイールに組み付けるのが簡単
・ホイールが変形したとしてもチューブが無事なら走行できる
チューブレスタイヤは取り付けるのに高い技術力と精度が要求されるため、脱着にはタイヤチェンジャーという特殊な機械を使うのが一般的です。
ところが、チューブタイヤはホイールに組み付けるのが簡単なので、手軽に人力で脱着することができます。
また、ホイールが多少変形していたとしてもチューブさえ無事なら走行することができます。
このため、ジープのような不整地走行を想定した車両などでよく使用されています。
【チューブタイヤのデメリットとは?】
・パンクした際に、すぐ走行出来なくなる。
チューブレスタイヤはタイヤが破損したとしても空気の抜けが緩やかであるため、多少の走行が可能です。
一方、チューブタイヤはチューブがパンクした時にすぐに空気が抜けてしまい、走行が出来なくなってしまいます。
ラジアルタイヤ

ラジアルタイヤというのは、タイヤの骨格を形成している「カーカス(carcass)」という部分がタイヤの中心から放射状(ラジアル)に配置されているタイヤの事です。
1946年に有名タイヤメーカーであるミシュランによって製品化されたもので、現在普及している自動車のほとんどがラジアルタイヤを使用しています。
そんなラジアルタイヤのメリットとデメリットについてご紹介しましょう。
【ラジアルタイヤのメリットとは?】
・耐久性能が優れている
・強いグリップ力を持っている
車両の保安を担うタイヤにとって、「耐久性能が優れている」というのは注目すべきメリットといえます。
また、道路上で滑ることなくしっかり道路をつかむ(グリップする)力に優れており、安定した走りをすることができるというのも大きなメリットといえます。
【ラジアルタイヤのデメリットとは?】
・タイヤ側面の耐久性能は低い
ラジアルタイヤは地面に接するトレッド部分の強化を重視した作りになっているため、平面的な耐久度には優れているものの、タイヤ側面の耐久性能はそれほど高くありません。
バイアスタイヤ
バイアスタイヤは、カーカスが斜めに配置されているタイプのタイヤ。
空気入りのタイヤが開発された当初にできた構造であり、のちに発明されたラジアルタイヤに比べて現在使用される機会はかなり少なくなっています。
とはいえ、バイアスタイヤは比較的製造方法が簡単であることから、産業車両や建築車両などの頻繁にタイヤを交換する車両のタイヤとして使用されています。
【バイアスタイヤのメリットとは?】
・快適な乗り心地になる
・費用が安価で済む
バイアスタイヤは道路にしっかり接地している感覚をつかみやすく、安定感があり、タイヤそのものの柔軟性も相まってクッション性のあるやわらかな乗り心地を体感できます。
また、ラジアルタイヤに比べて安価に購入することができるのも大きなメリットだと言えるでしょう。
【バイアスタイヤのデメリットとは?】
・耐久性が低い
製造方法が簡単であるという事は、構造が単純であるという事と同じです。
そのため、バイアスタイヤはラジアルタイヤに比べて耐久性が低く、きついコーナリングや不安定な道を走行することが多い場合にはおすすめ出来ません。
低燃費タイヤ

低燃費タイヤ(またはエコタイヤ)とは、文字通り燃費性能に優れたタイヤの事を指します。
燃費に影響する「転がり抵抗性能」と安全性に関係する「ウェットグリップ性能」の数値が、日本自動車タイヤ協会が設定したグレーティングシステムの基準を上回る場合のみ、低燃費タイヤと名乗ることが許されています。つまり、転がり抵抗が少なく(スムーズに走ることができ)、ウェットグリップ性能が高い(雨天でも安心して走れる)高品質なタイヤを指します。
ただし、性能によって低燃費タイヤとしてのグレードが異なります。
最も低いものはグレードC、もっとも高いものはグレードAAAとなっています。購入する際は必ずグレードに注目しましょう。
【低燃費タイヤのメリットとは?】
・大きなデメリットがない
上記のように、転がり性能、ウェットグリップ性能が高いため安全性が高く、さらに文字通り低燃費でお財布にもエコな低燃費タイヤは、「非の打ち所がないタイヤ」といえるでしょう。
タイヤのグレードにもよりますが、ほとんどの低燃費タイヤの乗り心地は一般的な ラジアルタイヤ
と変わりありません。
【低燃費タイヤのデメリットとは?】
・費用が高い
一般的なタイヤと比較すると、厳しい基準を設けられている低燃費タイヤはやはり費用が高くなりがちです。
スタットレスタイヤ
スタッドレスタイヤというのは、一般的なタイヤよりも深いタイヤ溝が入っており、凍結して滑りやすい路面であってもスムーズに走行することができるタイヤの事です。
主に雪が降る地域で使用されており、別名を「冬タイヤ」と呼ぶ事もあります。
凍結した路面を走行するときは、一般的なタイヤを使用するとスリップする可能性が高いので、必ずスタッドレスタイヤを装着するようにしましょう。
【スタッドレスタイヤのメリットとは?】
・凍結した路面でも安定して走行できる
スタッドレスタイヤは凍結している路面であっても、しっかりとグリップ性能を発揮できるように設計されています。事故の多発する凍結した路面も、スタッドレスタイヤであれば安定して走行する事が出来ます。
【スタッドレスタイヤのデメリットとは?】
・揺れが大きい
スタッドレスタイヤは路面との密着度を高める設計になっています。事故を防ぐというメリットがありますが、同時にカーブや路面の凹凸を走行したときの振動を車両に直接伝えやすいという点はデメリットと言えるでしょう。
タイヤの摩耗

タイヤは超重量の車両を支えるパーツで、使用すればするほど、どんどん摩耗していくものです。
摩耗しきって溝がなくなったタイヤを使用していると重大な事故の原因になりかねないので、タイヤ交換時期の目安について知っておきましょう。
タイヤの適切な交換タイミングは、タイヤのゴムがすり減って溝が1.6mm以下になった時です。
「1.6mm以下と言われてもわからない!」という方もいるでしょうが、タイヤには1.6mm以下になった時にひと目でわかるように、「スリップサイン」という表示が出るようになっています。
スリップサインはタイヤの至るところに組み込まれていて、一箇所でもこのスリップサインが見えたらタイヤ交換をするべき時期という事になります。
タイヤのタテ溝が削れてすり減り、横線が出てきたら、それがスリップサインであると言えます。
溝が1.6mm以下のタイヤで走行すると、道路交通法違反となるのでかならずスリップサインを見逃さないようにしましょう。
また、タイヤにひび割れや亀裂が入った場合も即交換するべきというサインです。
ひび割れや亀裂があるタイヤで走行すると、タイヤが破裂してしまう危険性があるので要注意です。
タイヤの点検
自動車を安全に利用するためには、日々のメンテナンスは欠かせません。
中でも、唯一路面と接しているタイヤの点検は大切です。人身事故や物損事故などの大きな事故を起こさないためにも、毎日乗車前に簡単なタイヤ点検をしてみましょう。
タイヤの日常点検で大切な項目は6つです。
1、空気圧が適正かどうか。
適正な空気圧は車種によって異なるので、ご自分が乗っている車両の運転席側のドア、または給油口にある空気圧表示シールを確認しましょう。
2、タイヤ溝の深さ。
溝が1.6mm以下になっているタイヤだと、公道を走ることができません。
3、「偏摩耗」していないかどうか。
一部分に極端な摩耗(偏摩耗)が起きているタイヤは、空気圧が適正でない可能性があります。
4、キズがないかどうか。
小さなキズでも、走行しているうちに大きな亀裂になったりします。結果的にタイヤが破損して事故につながることがあるので、長距離を移動する前などは特に目を配る必要があります。
5、ヒビ割れしていないかどうか。
直射日光を多く浴びているタイヤはヒビ割れを起こしやすいので、要注意です。
6、サイド面が膨れていないかどうか。
タイヤのサイド部分が膨らんでいる場合、タイヤ内部のコードが切れている可能性があります。
以上の6点をチェックし、安心・安全な走行を心がけましょう。
ローテーション

タイヤの摩耗を防ぐためには、タイヤをローテーション(入れ替え)するのが効果的です。一般的なのは前輪、後輪を一定期間ごとに入れ替えるという方法です。前輪と後輪にかかる負荷が異なるので、ずっと入れかえないままだと一方に負荷がかかり過ぎ、すぐに摩耗してしまいます。
一定期間ごとに入れ替えることで負荷を平等にして、タイヤを長持ちさせることが必要であるわけです。
しかし、ただローテーションしていればいいというわけではありません。
車は、大きく分けて「FF(フロントエンジン・フロントドライブ=前輪駆動)」と「FR(フロントエンジン・リアドライブ=後輪駆動)」の2タイプに分かれますが、ローテーションはそれぞれのタイプに合った方法・時期を選んで行う必要があります。
【FF車の場合】
FF車はフロントタイヤ(前輪)にすべての力がかかるため、リヤタイヤ(後輪)に比べてフロントタイヤは3倍ほど摩耗が早いとされています。
というわけで、フロントタイヤをリヤ側に移動させるローテーション方法を取りましょう。
【後輪駆動のFR車・4輪駆動車の場合】
FF車とは逆に、FR車はリヤタイヤにすべての力が掛かる為、フロントタイヤに比べてリヤタイヤは3倍ほど摩耗が早いとされています。
リヤタイヤをフロントタイヤ側に移動させるローテーション方法を取りましょう。
ちなみに、タイヤのローテーションは5000kmを走行するごとに行うことが目安とされています。
空気圧
タイヤは適切な空気圧がある事によって、良い乗り心地や正しい走行性能を発揮します。しかし、タイヤはゴムであるため自然と空気が抜けていってしまう性質を持っています。
タイヤの空気圧を適正に保つためには、月に1回程度点検する必要があります。
適正空気圧は車両によって異なるので、指示された通りの適正空気圧を保つようにしましょう。
適切な空気圧でないと、以下のようなトラブルが発生する可能性があるので要注意です。
【空気圧過多の場合】
空気圧が過多になると、余計に膨れ上がったセンター部の偏摩耗を引き起こします。また、空気によって余分なクッション性が追加され、乗り心地が悪くなるうえにキズを受けやすい状態になります。
【空気圧不足の場合】
空気圧過多の場合とは違い、今度はタイヤの両ショルダー部分が偏摩耗を引き起こします。
また。発熱による損傷が起こりやすいのも注意したいポイントです。
タイヤの保管

タイヤの正しい保管方法はご存知ですか?
冬はスタッドレスタイヤに変えるなど、時期によってタイヤを交換する方も多いとは思いますが、使用していない間のタイヤは一体どうやって保管しているでしょうか?
タイヤはゴム製品であるため、正しい方法で保管しないと自然劣化によって使い物にならなくなる場合もあります。ここでは、タイヤを長持ちさせる保管方法についてご紹介します。
1、水洗いのみで洗浄。
タイヤは常に路面と接しており、非常に汚れています。保管前はかならず洗浄しましょう。
ただし、水洗いのみが鉄則です。
頑固な汚れを落としたい場合にのみ洗剤を使い、よく水洗いしてください。
水洗いを終えたらしっかりと乾燥させましょう。
2、直射日・湿気のない場所で保管。
日光や湿気は、ゴムを劣化させてしまいます。必ず日光と湿気を避けることができる場所で保管しましょう。
密閉された場所に保管する場合は、時おり空気の入れ替えを行うと効果的です。
3、ワックスは不要。
ワックスを塗ってから保管場所にしまう、という流れを取っている方も多いとは思いますが、実はタイヤにワックスは必要ありません。
むしろ、化学物質がタイヤに染み込むと、タイヤを劣化させてしまう可能性があるので要注意です。
車検合格基準
タイヤの状態は走行の質に大きく関わるものであるため、車検においても重要視される点です。
車検でのタイヤの点検項目で重要なポイントは主に2つ。それぞれの合格基準について、以下にまとめてみました。
【タイヤのはみ出し】
かつて、タイヤのはみ出し(車体の側面にはみ出していないかどうか)に関しては厳しい基準が設けられていましたが、現在では緩和され、はみ出しは10mmまでなら許されるようになりました。
とはいえ、タイヤのはみ出しはないほうが安全です。できるだけはみ出さないように注意しましょう。
【タイヤの溝】
タイヤの溝は、法律によって1.6mm残っていなければならないと定められています。
1.6mm以下のタイヤで公道を走行すると違反扱いになるので、注意しましょう。
溝が1.6mmになると、タイヤにはスリップサインというものが浮き出てきます。また、スタッドレスタイヤの場合はプラットホームという名のサインが浮き出てきます。それを目安にしてタイヤ交換をこまめに行いましょう。
まとめ

タイヤは、自動車を構成する部品の中で唯一、路面に接地している重要な部品です。
単純な構造のように見えますが、タイプによって乗り心地や性能などが大きく変わってくるので、必ず自分の車に、また走る予定の道の状態に合った物を選びましょう。
また、タイヤは定期的なメンテナンスが欠かせません。溝の深さは1.6mm以上であることが定められていますし、自然と抜ける空気圧を適正値に常にキープする必要もあります。
手間はかかるものの、タイヤの不具合は大きな事故を引き起こしかねないので、少なくとも月に1回はメンテナンスするよう心がけましょう。