自動車整備事業

目次
自動車整備事業とは

自動車整備業とは、自動車が安全な走行をするために必要な点検・整備・修理などを行う業種のこと。
具体的には、「指定工場」「認証工場」と呼ばれる自動車整備工場が、自動車整備業を営んでいるという事になります。
自動車整備業を営むために必要な人員・設備がそろっており、かつ十分な面積を有する作業場を持っていることを公に認められた工場の事です。
特に指定工場は、車検・事前点検を丸ごと工場内で行うことが認められていることから「民間車検場」と呼ばれています。
一般的には、車検は国が運営する運輸支局に車を持ち込んで行う必要がありますが、指定工場に依頼した場合は車検をパスするための事前点検と車検を同時に受ける事が可能です。
「事前点検をやってもらった業者の手違いで不備があり、車検に受からなかった」などということがなく、安心してお任せする事が出来ます。
一方で、認証工場は車検場としての資格を持ってはいないものの、自動車整備業を営む人員・設備を備えている工場であると定義されます。
車検を行う場合に認証工場に依頼する場合は、認証工場で事前点検を受けたあと、万全の状態にしてもらって運輸支局で車検を受ける事になります。
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指定自動車整備事業制度の概要について
国が定める「指定自動車整備事業制度」とは、平たくいえば自動車整備事業を営む資格を持ち、なおかつ国の運輸支局に代わって車検を行う資格も有している「指定工場」について定めた制度です。
指定工場の条件は、主に以下のような点です。
・「自動車分解整備事業」の認証(資格)を受けていること
・「優良自動車整備事業者認定規則」に定められた設備や技術を有していること。
・同規則に定められた管理組織を有していること。
・「指定自動車整備事業規則」で定められた自動車検査用の専門設備が整っていること。
具体的には、「自動車分解整備」を行うための作業場と検査場を備えていることや、「自動車分解整備」に使用すべきとされている機材(29品目)がそろっていることなどが挙げられます。
また、機器としては、ほかにも自動車検査用の44品目もプラスされます。
自動車整備工場が制度を利用して「指定工場」になるためには、所定の手続きを行って地方運輸局長による指定を受ける必要があります。
手続きを行うためには、運輸局長に申請書を提出することが必要です。
とはいえ、運輸局長がいる地方運輸局に提出するというわけではなく、各都道府県に設置されている「運輸支局」に提出する事になります。運輸支局にて申請内容が審査されたうえで、あらためて地方運輸局に回されて本格的な審査が行われることになります。
内容に不備がなければ、申請後、約45日(1ヶ月半程度)で指定を受ける事が出来ます。
ユーザー車検は、自分で運輸支局の車検場に持って行き実施する車検
陸運局の指定整備工場への定期監査

国土交通省が管轄する地方運輸局や運輸支局では、指定工場を指定するだけでなく、その後の事業について目を光らせています。
指定工場は、「自動車の安全な走行を可能とする」という大切な仕事を担い、国に代わって車検を行う資格も有している訳ですが、その資格を悪用する悪質な工場も少なからず見られます。
たとえば、改造車の車検を甘めに行ってこっそりパスさせている工場などがあるようです。
そのような状況の中で、地方運輸局や運輸支局では定期的な抜き打ち監査を行い、それぞれの工場がきちんと事業を行っているかどうかチェックしています。
違反が見つかった場合は減点し、ある程度マイナスがたまると営業停止などの処分を下す事になります。
このような国の取り組みはおおむね功を奏しており、近年では悪質な指定工場の数は減少傾向にあります。さらに、抜き打ち監査において違反行為と見なされるようなことがないよう、車検や事前点検を行う際には国が定める基準よりも厳しい基準を独自に設けている、という工場も見られます。
一見すると「車検に通りにくい工場」ではありますが、きちんと整備を行い、細かいところまでチェックしたうえで車検に通してくれるという点においては、安心できる存在であると言えます。
無車検・無保険の車の対処法
自動車整備業を営む指定工場に車検を依頼してくる人の中には、“無車検・無保険の車”の依頼をしてくる人も少なくありません。いわゆる「車検切れ」の車です。
現在、法律では車検切れの車は公道を走る事が出来ないとされているので、なかなか厄介……ではありますが、決して不可能な事ではありません。
無車検・無保険の車の検査を行う場合も指定工場に運ぶ必要がありますが、その場合は「仮ナンバー」を取得して持っていく事が出来ます。
期間限定で公道を走ることができるという特別なナンバープレートであり、役所で必要な書類をまとめて申請すれば取得する事が出来ます。
あるいは、指定工場がキャリアカーを出して対応するというケースもあります。
キャリアカーとは、自動車を積載する事が出来る大型車両の事です。
無車検・無保険の車は仮ナンバーを付けていない限り公道を走れない=タイヤを地面につけたまま移動する事が出来ないという訳で、キャリアカーに積んで工場まで運んでいる訳です。
自動車整備技術者認定資格制度

2004年に制定された「自動車整備技術者認定資格制度」は、
① 動車整備技術コンサルタント
②自動車整備技術スーパーアドバイザー
を認定するための制度です。
それぞれ12時間、29時間の教習を受講することで認定資格を得る事が出来ます。
① 受験資格は、一級自動車整備士技能検定合格者であること(一級自動車整備士である事)、認証工場に勤務し、実務経験を3年以上積んでいること、そして倫理綱領に違反していないこと。
一方、②の受験資格は、二級自動車整備士であること、認証工場に勤務し、3年以上の実務経験があること、そして倫理綱領に違反していないことが挙げられます。
要するに、「自動車整備技術者認定資格制度」は、すでに自動車整備業の資格を持っている人が、さらなるステップアップを測るために活用する制度であると言えます。
所定の教習を受講した上で自動車整備振興会に認定資格の申請を行い、審査を受けた上で認定してもらうというのが大まかな流れです。
認定資格取得のメリット
自動車整備技術者(自動車整備技術コンサルタント・自動車整備技術スーパーアドバイザー)の資格を取得した場合の業務内容は、基本的には自動車整備士の延長上にあります。
しかし、ただ単に車の整備を行うというだけでなく、車を工場に持ち込んだお客さんを相手にするというのが主な仕事内容となります。
名称にもあるように、コンサルタントでありスーパーアドバイザー(監督者や管理者のこと)、すなわち様々な相談を受け付け、整備に関する説明を行う事になります。
「コンサルタント」「スーパーアドバイザー」といった認定資格を持っていることで得られるメリットとしては、まずは何といっても「認定資格を持っている」ということから高い信頼度を得る事が出来るという点にあります。
「あの工場には有資格者がいる=何かあったらあの工場に頼もう」ということで、工場の事業をより充実させる事が出来ます。
また、認定資格を取得するにあたって身につけたコンサルティング術、アドバイス術を駆使してより良いサービスを提供することができるというのもメリットのひとつです。
名前負けしない確かな技術力を持った人材として信頼感を獲得し、お客さんとスムーズなコミュニケーションをとる事が出来ます。
指定自動車整備事業者における不正車検通報窓口

指定工場の認証を受けている「指定自動車整備事業者」は、国に代わって車検を行う資格を有しています。本来は、いわば国に任されている業者としてしっかり車検を行う義務があるわけですが、中には不正行為を行っているところもあるようです。
具体的には、いわゆる「ペーパー車検」を行う事業者がいるとのこと。
ペーパー車検とは、実際に車を見ることなく書類だけで車検をパスさせてしまうことであり、安全走行ができない車を公道で走らせてしまう可能性がある悪質な行為です。
車検を管轄している国土交通省ならびに地方運輸局・運輸支局では、定期的な抜き打ち監査を行うなどしてこのような行為が行われないようにつとめており、その数は減少しつつあるとも言われています。
が、やはり不正行為ゼロとは言えないようです。
そんな中、国土交通省は2017年11月29日に通報窓口を設置しました。各地方の地方運輸局に電話・FAX・メールの窓口が設けられています。
メールの場合は、国土交通省のHP上にある通報様式のExcelをダウンロードし、必要事項を記入して送信する形となっています。
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自動車整備業起業
ここでは、自動車整備業者として起業しようと考えたとき何が必要なのか、まとめてみたいと思います。
自動車整備業は、「道路運送車両法」という法律にのっとって営業する事が定められている業種です。
この法律に基づき、開業に際してはそれぞれの地方に設置されている地方運輸局に申請し、地方運輸局長の承認を得る必要があります。
また、自動車整備業を始めるには「認証工場」の資格を有する必要があります。
認証工場では自動車の点検・整備を行うことが可能です。
その条件は、車の「分解整備」を行う技術を持ったスタッフを2人以上置くこと、スタッフのうち1人以上は「整備主任者」の資格を持っていること、スタッフは「自動車整備士」3級以上の資格を持っていること、などが挙げられます。
もちろん、自動車整備に必要な設備・機器を有していることが最低条件です。
この資格を有したうえで、点検・整備に加えて車検も行う事が出来る「指定工場」の資格取得にもチャレンジする事が出来ます。
指定工場として承認を受けるには、上記のような「認証工場」の条件をクリアしていることが前提で、なおかつ3ヶ月以上認証工場として営業していることが条件です。
また、自動車の点検・整備に関する実績を持っていること、確かな技量を有する自動車整備士をスタッフとして複数置いていること、合理的な組織づくりが出来ていることなどが条件として挙げられます。
開業に必要な資金は、工場の建物や中の設備、人件費や販促費なども込みで考えると、およそ1億円程度と考えられます。
自動車整備業開業の注意事項

ひと昔前まで、車検といえば「指定工場」「認証工場」といった自動車整備工場やディーラーに任せるカタチが一般的でしたが、現在では車に乗る人自身が自動車の点検を行い、自分自身で各地の運輸支局に車を運んで車検を受ける「ユーザー車検」も盛んです。
そんな中で自動車整備業を開業するには、特に料金設定やサービス内容についてしっかり考える必要があります。周辺の同業他社の料金設定をチェックし、さらには自動車の点検整備・車検の需要の高さについても調査する必要があります。
割引サービスなどの特典・キャンペーンを考案し、点検待ちの時間も退屈せずに過ごせるような設備の設置なども行い、お客さんにとってより利用しやすい、長くひいきにしていきたいと思わせるような工場づくりを心がける必要があります。
指定工場と認定工場の違いを比較して、自分に合う車検工場を選びましょう!
まとめ

自動車の点検・整備を行う資格を有する「認証工場」や、点検・整備に加えて国に代わって車検を行う資格も有する「指定工場」といった工場を営む自動車整備業。
車検を依頼するお客さんにとっては、自動車について知り尽くした整備士がしっかり点検・整備を行い、さらにはその流れで車検も受けることができるので、「車検落ち」の心配がないという所が大きなメリットと言えます。
ただし、数ある自動車整備業者の中には、検査を行わずに車検を通してしまう「ペーパー車検」や、違法な、あるいは危険な改造を見逃すなど、不正行為を行うところも見られます。
減少傾向にあるとはいえ、抜き打ち監査によってその実態が新たに暴かれるというケースも見られる状況です。国土交通省では、そのような業者をユーザー自身が見つけた場合に通報できるシステムを確立しています。交通安全を脅かすような悪質業者については、通報システムを活用しましょう。
「ユーザー車検」を選択する人が増えつつある中でも、自動車整備業者の需要がまったくなくなることはありません。
認証工場や指定工場として開業し、その需要に応えて利益を上げていきたいという夢を抱く人もいるでしょう。認証工場や指定工場を開業するには、それぞれの条件をクリアする必要があります。
また、よりお客さんからの信頼度を高め、車の専門知識を正しく伝えて点検・整備・車検に関する疑問点を解消するスキルを身につけることができる「自動車整備技術者」になることで、自動車整備業者としてステップアップすることができます。
不正行為は絶対に行わないこと、ステップアップに努めることを心にとめつつ、開業にチャレンジしてみましょう。